塾生、卒塾生の中にも被災された方、近しい方を
震災で亡くした方がいらっしゃいます。
改めてご冥福をお祈りいたします。
震災の日、実は午前中郡山中の卒業式に
行って、卒業生にお花を渡しました。
他の中学校より一足早かったおかげで
唯一普通の卒業式ができたんですね。
私、震災直後に行った当時の中3・・・8期生の
高校進学壮行会の時に読んだ手紙があります。
普段は原稿なしで生徒たちにメッセージを送る
のですが、この時ばかりはいろいろな思いが
あり、何日もかけて原稿を作りました。
長文ですが9年ぶりにご紹介します・・・。
当時の私の思いを素直にメッセージにしたものです。
きっと今も変わることのない思いです。
------------------------------------------
みなさん、卒業おめでとう。
そして長かった受験生活おつかれさまでした。
一般入試直後に信じられないほどの大きな震災
があり、みんなつらい思いをしました。
親戚や友人で被災した方もたくさんいるかも
しれません。自分の身近でない人であっても1万
人以上の人が亡くなり、2万人以上の人がいまだ
に避難所や他の地域への避難生活を余儀なくされ
ています。そのことを思うと同じ東北人として普
通の気持ちではいられません。
幸いにもこの付近はライフラインも復旧し、食料
も並ばずに買えるほど普通の生活に戻りつつあります。
でも、この震災のこと、亡くなった人のこと、苦し
んでいる人のことをけして忘れないで下さい。また
助けてくれた人、一生懸命力になってくれた人のこ
とを絶対忘れないで下さい。この先、どんなに時が
経っても、この震災のこと、津波のことをネタに
笑うようなことは絶対しないで下さい。
そして、自然災害の恐ろしさと命の尊さ、人の
優しさを将来、自分の子どもたちに伝えていって
ください。もしも学校の先生や幼稚園の先生にな
る人がいたら、自分が見て感じた思いを自分たち
の言葉で子どもたちに伝えてあげてください。
もしも電気、水道、ガス・・・そういう仕事に就
く人がいたら、いつもありがたく受け取っている
人たちのことを想像してあげてください。そして
その仕事が当たり前ではない生活に本当に必要な
仕事なんだという誇りをもって仕事をしてください。
スーパー、コンビニ、ショップ・・・そういうとこ
ろに就職する人がいたら、物だけでなくお客さん一
人一人に笑顔を添えてください。いっぱいの笑顔と
元気は気持ちを明るくします。そして、その物を
作っている人の思い、運んでいる人の思いも一緒に
伝えてあげてください。
建設現場で働く人がいたら、地震に負けない、
津波に負けないしっかりした建物を思いを込めて
作ってあげてください。丈夫な建物は人間に安心
感を与えます。
飲食店で働く人がいたら、野菜、果物、米など、
作ってくれたたくさんの思いをしっかり受けとめ、
その思いをおなかをすかしている人たちに笑顔と
ともに届けてください。
君たちが将来、どんな職業につくかわかりません。
ただ、職業は最終目標ではなく、手段です。誰か
のために役に立つ・・・そういう思いで仕事をし
てください。
君たちのお父さん、お母さん、いろんな仕事を
していると思います。でもすべてが誰かのため
に役に立っている仕事です。
この震災で家族の大切さも実感したと思います。
高校受験においても親といっぱい喧嘩したかも
しれません。でも君たちの事をいつも一生懸命
考え、がんばり、支えてくれたのは家族です。
震災の時、「自分に何かできないか」そう考
えた人も多かったと思います。
残念ながら公立高校に不合格になり、私立にい
くことになって「迷惑かけちゃうな」そう
考えた人もいると思います。
僕は今、君たちにできることは親への感謝の
気持ちを持つこと、そして家族を支える力に
なることだと思います。
お父さん、お母さんたちはきっとこの震災の
影響で、少なからず仕事に影響が出て、今ま
で以上に忙しくなっているはずです。売上が
下がったり、日曜日も休まず出勤している人
がいるかもしれません。逆に仕事になかなか
復帰できない人もいるかもしれません。
通勤に時間がかかっていることもあるかもし
れません。
いろんな意味で精神的にも肉体的にも疲れが
あるはずです。それでもきっと家ではいつも
のように振舞っているはずです。
君たちには苦労させないように、必死に頑
張っています。
その気持ち、思いを受け止めてあげてください。
君たちはもう子どもではありません。
春休みに時間のあることをいいことに家の手
伝いもせず、ゴロゴロしたり、遊んでばかり
していませんか。テレビを見て「かわいそう
だね」と評論家のように言っているだけじゃ
ないですか。自分でできることは自分でする。
いちいち親を頼らない、わがままを言わな
い・・・そんなことから始めてみてください。
さて、改めて、受験生活振り返ると、長かった
ような気もしますし、あっという間だったよう
な気もします。毎年、僕は新しい中三を始める時、
いろんなことを考えます。
この1年間、どういうカラーにしようか、誰を重
点的に見ようか、どういうグループ構成にする
のがよいのか・・・。
2年前の代も中三メンバーが多かったので、
今年のように塩澤先生と組んだことがあります。
その時に塩澤先生と話し、反省したことも踏ま
えながら、毎日授業終了後の打ち合わせは相当
長くかかることもありました。
でも僕らは物を相手にしているのではなく、
人間を相手にしているのだなということを改
めて感じました。予想以上に頑張るもの、
予想以上に頑張らないもの、妙な対立、やる気
の喪失、やる気があるのに結果が伴わない
現実・・・改めて人対人の難しさと逆におも
しろさも感じることができました。
先日の壮行会で多くの先生が言っていましたが、
今まで見てきた8回の中三で、この代が一番好
きです。本音を言うと、一番めんどくさくて、
中三にならなければいいと思っていた代でもあ
ります。でも一人一人個性があり、人間味にあ
ふれていて、反抗的だけど、素直なところも
あって・・・。いろんな行事や補習も何回もや
りましたが、ほんとんどの行事や補習に全員参
加し、朝塾の参加率も一番高かったです。
現実はわかりませんが、塾のこと、名学館のこ
とを好きでいてくれたのかなと思うと、ますま
す好きになります。
ご存知のようにうちの塾は開校からわずか8年
の名もない小さな塾です。そんな小さな塾に
富沢中以外からも6人も入ってくれ、他塾か
ら転塾してくれた子もいますし、死ぬほど怒
られ、叩かれ、大量の課題を与えられ、いっ
ぱいつらい思いをしたにもかかわらずやめず
に最後まで頑張りとおしてくれたこと本当に
感謝しています。
運命というのはあるのかないのかわかりま
せんが、きっと僕や講師の先生が君たちと
出会ったというのは偶然ではなく運命なん
だと思います。
入塾した理由は人それぞれでしょうが、きっと
入るべくしてうちの塾に入り、出会うべくし
て出会った・・・そう信じています。
塾は成績を上げるところ、塾は志望校合格
に導いてくれるところ・・・そう考えれば
「名学館に通わなければよかった」「ほかの
塾だったら合格していたかもしれない」そん
な風に思う人がいるかもしれません。実際、
今年10名が残念ながら公立高校不合格という
悔しい思いをしました。そのことについては
何度頭を下げても尽きない位申し訳ない気持
ちで、合格発表の前後はずっと眠れない日々
が続いていました。
でも、もしももしも今でなくても何年後かでも、
「名学館に通ってよかった」と思えることが少
しでもあったら嬉しいです。塾長や講師の先生
方に出会えたことが、自分にとって何かプラス
になったことがあるならば、嬉しいです。
君たちが僕と同じくらいの年齢になり、仕事
で自分の部下や自分の子どもに「締め切り守れ
や」「ルールは絶対だから」「そんなの2秒で
終わるだろ」・・・僕らがいつも言っていた
そんな言葉がつい口をついて出てくれたら、
なんか嬉しいです。
僕はよくも悪くも君たちを名学館カラー、塾
長カラーに染めました。だから、本当の仲間です。
このことは他塾にはない強みです。
この震災の影響で経営がかなり危ぶまれてい
ますが、この塾が続いている限り、僕はいつ
もここにいます。高校で継続してくれる生徒
は引き続き一緒に頑張りましょう。そして、
この春で卒塾する子達もこれまでの卒塾生が
そうであるように、時々元気な顔を見せに来
てください。ドライですが、僕は入塾しなかっ
たり、途中で退塾した生徒のことは縁がな
かったという思いで、気にしません。
でも一緒に受験を戦った子のことはたぶん、
この先もずっと支援していきます。
1期生が甲子園に行った時、甲子園の土を持っ
てきてくれました。野球で頑張る冬馬が何か
あるたびに来てくれます。3期生の海人君が講
師として戻って来てくれました。
3人とも公立ではなく、私立に進んだ組です。
4期生が全員20歳になったら、同窓会で飲み
に行く約束もしています。
広島に転校した5期生が震災の時すぐに
心配の連絡をくれました・・・。
卒塾生とのエピソードはたくさんあります。
大学生になっても社会人になっても長い付き
合いをしていきましょう。
―――――――――――――――――――
震災で苦しんでいる中、支えは目の前にいる
生徒であり、卒塾生であり、保護者でした。
その思いは今も変わっていません。
何回か名前も出てますし、中3の応援DVDにも
メッセージくれた大曙君もこの代。
大曙のことはブログにも以前書きました。
http://meigakukan.sblo.jp/article/186259438.html
彼はこの代の中でも一番私の思いをくみ取って
くれたやつです。
家は幸せの象徴・・・だから家を売るという営業
をしたかったと。
今、本当に頑張ってます。
彼の心の中にも震災の時に感じた思いがあると思います。
いや彼だけでなくみんなそうでしょう・・・。
今年はコロナ騒動の影響で、震災関連の報道も少な
いような気もしますが、この先も私たちは震災のこと、
その時感じた思いを伝え続けていかなければならないと
感じています。
すみません・・・今日もいろいろありましたが
3.11に寄せた思いだけを記事にしました。
感想はコチラ↓
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=17d88ec41413e292